2026年2月16日

胃腸の不調が[新たな社会問題]に
近年、胃腸の不調を訴える方が増加し、その社会的・経済的な影響が注目されています。
ある大規模調査によると、「長引く、あるいは繰り返す胃の不快感」を感じている人は国内で1,200万人以上に上ると推計され、更に約847万人が胃腸の症状によって仕事を早退・欠勤した経験があると報告されています。
その経済損失は、なんと!年間8000億円を超えると推計されており、花粉症や頭痛、生理痛と同等レベルで仕事や日常生活に支障をきたすケースが多発しているという結果が示唆されました。
現代人に増える「胃の不調」の背景
胃腸の不調には、外因的な要因(暴飲暴食や夜遅い時間の食事等の飲食の不摂生、アルコール・刺激物の過剰摂取など)だけではなく、ストレスや生活リズムの乱れが大きく関与します。
肉体的にも精神的にも常に動き続けているような興奮状態が続き自律神経のバランスが崩れると胃酸分泌や胃の運動が乱れ、慢性的な不快症状につながることがよくあります。
また、患者さんでも20〜30代といった比較的若い世代で「胃の知覚過敏」やストレス関連の胃の不調(機能性ディスペプシア)に悩まされている方が増えています。
多くの方が胃に不調を感じた時に「ただの胃もたれ」かと思って放置しがちですが、症状が慢性化すると生活の質(QOL)の低下、睡眠障害、食欲不振などにつながり、更に悪化させてしまうという、放置による悪循環を生むケースも少なくありません。
日常生活でできる胃腸ケア
胃腸の専門家(消化器内科専門医)として私が日頃の診察で患者さんにお伝えしているポイントは以下の通りです。
【食生活の見直し】
✔︎ 暴飲暴食を避け、3食を適量で規則正しく摂る
✔︎ 刺激物(辛味・酸味の強い食品)の摂取量や頻度を減らす
✔︎ 食後すぐに横にならない!
【ストレスコントロール】
✔︎ 自律神経の乱れを整える生活リズム改善
✔︎ 睡眠の時間や質の改善
✔︎ 適度な運動や深い呼吸を意識的に取り入れる
✔︎ 湯船に浸かる習慣をもつ
身体の力が抜け、リラックスしている状態(副交感神経優位の状態)の時間を1日の中で心がけて持つことがとても大切です!
お金をかけずに即実行できることとして、
◎1時間に1回大きく深呼吸をする。
◎コップ1杯の水を1時間毎に飲む。
これだけでもかなり変わって来ると思いますので試してみてください。
自己判断せず、早期受診のススメ
症状がすぐに改善される場合は問題ありませんが、胃痛・胸焼け・胃の不快感が2週間以上続く場合は、自己判断せずに専門医療機関での精査や必要に応じた治療が重要です。
特に機能ディスペプシアや逆流性食道炎、ピロリ菌感染、慢性胃炎、胃潰瘍などは内視鏡検査(胃カメラ検査)にて専門医に食道から胃・十二指腸にかけてしっかりと精査してもらうことがその後の治療を効果的に進めることに繋がります。
自己判断はせず、専門家に相談する習慣をもつことで悪化を防ぎ、早期回復を目指しましょう。
受診のタイミングは?
代表理事からのメッセージ
日々、多くの患者さんを診療している中で感じるのは、「痛みや不快感を我慢して受診を先延ばしにしてしまう」方が非常に多く、症状の悪化や慢性化を招いてしまっているということです。「まだ大丈夫」と放置していた症状が重大な病気のサインでる可能性もあります。
特に以下のような症状がある場合はできるだけ早い受診をお勧めします!
✅ 血便・黒色便が出ている
✅ 食事量は変わっていないのに体重が減少
✅ 食後の激しい胃痛や持続する吐き気がある
✅ 食事が喉を通らない程の喉の違和感
✅ 家族に消化管疾患の既往歴がある
消化器系の疾患の早期発見・早期治療には、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ検査)が非常に有効です。胃や大腸の精密検査は胃カメラ・大腸カメラだからです。
定期的に胃カメラや大腸カメラを受けご自身の消化管を精査する習慣を持つことが、将来の自分の健康年齢を上げる素晴らしいギフトであり、人生100年時代を生き抜く為の最善策です。
美味しく食べて楽しい時間をすごす日々の生活の中で、胃腸の症状は誰にとっても身近なものです。だからこそ専門的な視点で正しく理解し、定期的な検査で重篤な症状を未然に防ぐ習慣を持つなど、ご自身の胃腸を大切にすることが健康維持の重要ポイントです!
読者の方々が、ご自分の症状に合ったセルフケア習慣と受診の判断ができるよう、今後も正しい情報発信を続けてまいります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
一般社団法人ODG 代表理事
医学博士 小田木 勲
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